昔々、メソポタミアのウルクという大都市に、ギルガメシュという王がいました。ギルガメシュは半神半人で、その母親は女神ニンスン、父親は人間の王ルガルバンダでした。
ギルガメシュの父親であるルガルバンダは、ウルクの王として勇敢で公正な統治者でした。
彼は戦争の英雄であり、数々の戦いでウルクを守り抜いてきました。ルガルバンダは力強く、決断力に優れた王であり、民からも尊敬されていました。ルガルバンダはギルガメシュに戦いの技術や統治の知識を伝え、彼が王として成長するのを助けました。
また母親のニンスンは慈愛と知恵を司る女神であり、動物たちと話すことができる力を持っていました。彼女は優れた予言者でもあり、未来を見通すことができました。ニンスンは美しい青い衣装を纏い、頭には神聖な冠をかぶっていました。彼女の存在は常に人々に安らぎと導きを与えていました。ニンスンはまた、ギルガメシュに対しても深い愛情を持ち、彼を支える存在でした。
人間と神の血を引くギルガメシュは、特別な力と知恵を持って生まれました。
体は大きく、顔立ちは美しく、頭脳明晰で、人並み外れた力を持っていました。その力と知恵でウルクの街を守り、発展させる王となったのです。
しかし、ギルガメシュは時々とてもわがままになり、町の人々に対して厳しすぎることがありました。彼は自分の力を誇示するために、町の人々に重い仕事をさせたり、無理難題を押し付けたりしました。人々は次第に疲れ果て、神々に助けを求めるようになりました。
ついには、ウルクの人々は神々に助けを求めることにしました。彼らは神殿に集まり、神々に祈りを捧げました。
「偉大なる神々よ、私たちの王ギルガメシュを導き、我々を救ってください」と。
天上の神々は、人々の祈りを聞き入れ、ギルガメシュに対抗できる存在を作り出すことにしました。
こうして生まれたのがエンキドゥという男でした。エンキドゥは大自然の中で育ち、動物たちと共に生活していました。
彼は筋肉質で、髪は長く乱れ、ひげをたくわえ、動物たちと話し、彼らと共に狩りをし、食べ物を分け合うことができるほど自然と一体化していました。
エンキドゥは自由な心を持ち、大地の息吹を感じながら生活していました。彼の目は鋭く、耳は小さな音も逃さず、鼻は自然の香りを嗅ぎ分けることができました。彼は動物たちと共に川で泳ぎ、草原を駆け回り、森の中で静かに瞑想することを好んでいました。エンキドゥは自然の一部として生きることに誇りを持ち、人間の世界には無関心でした。
しかし、ウルクの人々はそのエンキドゥの存在を知り、彼ならギルガメシュを変えることができる救世主ではないか考え、彼の力を借りようと彼を訪ねることにしたのです。
そこで、ウルクの巫女シャムハトがエンキドゥを迎えに行くことになりました。シャムハトは知恵と美貌を兼ね備えた女性で、神殿で奉仕をしている身でした。
彼女はエンキドゥを訪ね、優しく彼に語りかけました。
「エンキドゥ、あなたはこの大自然の中で素晴らしい生活をしています。でも人間の世界もまた美しいものです。私と一緒に来て、人間の生活を見てみませんか？」
エンキドゥは初めて見る美しい女性に惹かれ、シャムハトの話に耳を傾けました。そしてウルクの町に向かうことにしました。
ウルクに到着したエンキドゥは、街の壮大な景観に驚きました。石造りの宮殿や神殿、活気ある市場、賑やかな街並みは、彼がこれまで見たことのないものでした。彼は市場で賑わう人々の声、神殿で響く祈りの歌、宮殿の荘厳な建物に心を奪われました。シャムハトはエンキドゥに人間の文化や習慣を教え、彼は次第に人間の生活に慣れていきました。ところが街の中でギルガメシュ王のわがままな振る舞いや、市民の苦しみを知り、彼は心を痛めました。
ある日、ギルガメシュが町の人々に対して不当な要求をしているのを見たエンキドゥは、これを許すことができませんでした。彼は市民の暮らしを取り戻すために立ち上がりました。
「ギルガメシュ王、あなたはなぜ王でありながら、ウルクの人々を苦しめるのですか？」
そして、ギルガメシュとギルガメシュとエンキドゥは互いの力をぶつけ合い、激しく戦いました。
その力比べは長時間に及びましたが、最後にはお互いの力と勇気を認め合いました。ギルガメシュの力強い拳とエンキドゥの俊敏な動きは、まるで自然と文明の戦いのようでした。
彼らの戦いはウルクの人々にも大きな衝撃を与えました。
しかし、戦いが終わった後、二人は互いに尊敬の念を抱きました。ギルガメシュはエンキドゥの野生の力と自由な精神に感銘を受け、エンキドゥはギルガメシュの勇気と知恵に敬意を表しました。こうして、ギルガメシュとエンキドゥは親友となり、共に冒険することを誓いました。
ウルクの街は、二人の友情によって新たな時代を迎えることとなりました。ギルガメシュとエンキドゥは、人々のために力を合わせ、数々の困難に立ち向かうことを決意しました。
これがギルガメシュとエンキドゥの出会いの物語です。次の話では、彼らがどのようにしてさらなる冒険に出るのかをお話しします。
索引
・ギルガメシュ
・エキドゥ
・シャムハト